第26章 霧雨樓

  格子戸越しに
  穿過格子門

  ぼんやりと

  發著愣

  頬杖ついて

  托著腮

  おもてをみてます
  看著外面
  覗きこんでく
  窺探著
  人の目は
  隻探尋到
  淋しさだけを
  人的眼神
  探しているよう

  寂寞
  一夜の夢

  一夜之夢

  一夜の戀

  一夜之戀

  わけ合いましょうか

  來說一說

  幸福を

  幸福吧

  黃昏時は心細く

  黃昏的時候心裡空蕩蕩
  あなたの名前を

  小聲嘟噥著
  つぶやいてます

  你的名字
  うなじにかかる

  靠著後頸
  後れ毛を
  用手指

  指でかき上げ
  把兩鬢的短發梳上去

  溜息つきます
  歎著氣

  窓の下には紫陽花が

  窗戶下面的紫陽花
  絹糸の中
  在絲線般的雨水中
  濡れて咲いてます
  淋濕綻放
  今宵だけの

  唯有今宵
  今宵の人
  今宵之人
  わけ合いましょうか

  來說一說

  不幸福

  不幸福吧
  雨の季節は肌寒くて

  雨季讓肌膚感到寒冷

  涙を一枚重ね著します

  淚水一滴一滴的掉下
  この世限り

  只有今生
  この世まかせ
  托付今生
  わけ合いましょうか

  也來說一說

  悲しみも
  悲傷吧

  霧雨の降る

  在煙雨朦朧的
  こんな夜は

  夜晚
  飛べない折鶴
  向著無法飛翔的千紙鶴
  祈り続けます
  不停地祈禱著
  (本章完)